経理との出会い -1-
皆様、はじめまして。
シスポート株式会社の米田と申します。
弊社は1981年、株式会社として創業し、現在第25期目を迎えているパソコン用業務アプリケーションソフトの開発会社です。
販売管理などの基幹業務システムを、運用指導等のサポートサービスと共に中小企業向けにご提供しております。
私は理工系学部を卒業し、大手の電子機器販売会社の営業として勤務した後、零細な電子部品販売会社に転社し、その後31歳で弊社を設立して独立開業しました。
パソコン(当時はパソコンという呼び方はなく、マイコンと言っていました)の業務ソフトを開発するという業態は当時では珍しく、あるメーカーのご支援などもいただき、開業後数年は順調に業況の拡大を図ることができました。その後、紆余曲折を経て現在に至っているのですが、経営者としては反省することばかりの連続です。
弊社が創業した1981年、マイコンオタクであったある青年が海の向こうで、あるソフト会社を立ち上げました。
その会社はその後、みるみる間に急成長を遂げ、今や世界的にその経営者を知らないものがないまでに成長しました。
その経営者とはビル・ゲイツという名で、かのマイクロソフトの創業者です。ビル・ゲイツと私を比べるつもりなど毛頭ないのですが、同じ年に生まれた会社でも、こうも大きな差がつくのかと思うと複雑な気持ちになります。
さて、創業した当時、私は簿記のことはまったく知りませんでした。
営業経験がありましたので、売上や原価、それに粗利ということについては知っており、損益計算書関係のことは概ね理解できましたが、貸借対照表関係、すなわち資産や資本、負債といったことについては日本語として知っているということでしかありませんでした。
特に、貸方や借方という言葉に接し、『これは誰から借りたンかいな。貸したらどないなるねん。なんで左やねん』などと、しょうもないことに頭を悩まし、遂に『簿記はよう判らん!』となりました。
しかしながら、経営者として最低限の経理知識は待たなければならないと思った私は本屋に行き、「簿記入門」というような名前の本を買ってきました。しかし、それを読み始めて数十分後には頭痛に悩まされる羽目に陥りました。
なにしろ「資産の減少、負債の増加」とか「固定資産と繰延資産」とかおよそ日本語だとは思えない、いや、日本語として理解しようとしても理解できない言葉がビシバシ出てくるのです。理解しようとすればするほど訳がわからなくなり、激しい頭痛に悩まされ、ついには『経理や簿記といったものは異星人の世界の話』と決めつけてしまいました。
ここで、当社が業務アプリケーションの開発という仕事をしていなかったら、恐らく経理オンチ、簿記嫌いのままで現在に至っていたかも知れません。
しかし、業務アプリケーションということは、販売管理、財務会計、給与計算などがその代表例ですが、それらのものを開発し、販売していく上においては、最低限の経理知識は必須でした。経理オンチや簿記嫌いでは済ますことはできなかったのです。
そこで、再び経理の勉強をしようと思った私は、会計事務所の方にあるお願いをしました。
「毎月の試算表を私に作らせてくれ。そして、その内容を添削して欲しい」と。
まず手始めに本屋に行き、前に買ったような難しい本ではなく、やさしい本、例えば「営業でもわかる経理の知識」とか「超初心者向け決算書の読み方」などといういわゆるハウツウものの本を何冊か買ってきて、乱読しました。
3冊目を読む頃には、「資産と負債」「借方と貸方」などについて、私なりになんとか理解できるようになりました。そして、その理解した内容を確かめるべく、月々の試算表の作成に取りかかりました。
当時はExcelなどのような便利なツールはありません。手書きで電卓片手で毎月数日掛けて試算表の作成に奮闘しました。そして、会計事務所の方からの指導を受け、徐々に理解度を深め知識を蓄積していきました。
会社を経営するということは、経理知識がなくてもできます。もっと大胆な言い方をすれば、売上を上げてさえいれば会社は回ります。
しかし経営というのはいつも順風満帆とは限りません。
雨の日や嵐の日がやってきます。そんなとき、我が社の何が問題なのか、
経営状態を良くするには何をどうすればいいのか、どこに問題があるのかをしっかりと把握し、適切な措置を講じなければなりません。
人間の身体でも、健康を損なったとき、どこが悪いのか、どうすればいいのか、何に気をつけたらいいのかなどを把握し、対処しなければなりません。
自らの身体の状態を察知することは大切だと思うのですが、こと、会社経営となるとかつての自分がそうであったように、まったく健康状態の把握できない経営者が多いことに驚かされます。
ソフト会社として業務アプリケーションの導入のお手伝いをしていると、その会社の基幹業務に接します。経営の根幹にふれることも少なくありません。
経理知識の乏しい経営者ならなおのこと、システム提案だけではなくいろいろなアドバイスをしたくなります。
しかし、ソフト屋はソフト屋です。
業者ごときにうちの経営に口出しされてたまるか、とばかり敬遠されたり、無視されたり・・・。
→ 後半へ続く
